第103号:ミラノの旧コルシア・デイ・セルヴィ書店・・・「霧の彼方 須賀敦子」

もっとちゃんと須賀敦子さんの本を読んでおけばよかったのに・・・と思ったのは、2000年代後半になって、私が旅行会社でツアーの企画をするようになってからだった。2000年代前半、イタリアによく添乗に行っていた頃に読んでいたら、もう少し違った見方がで…

第102号:2020年ロックダウンのヴェネツィアで「DECAMERON」を読むところから始まる・・・デカメロン2020

COVID-19で、イタリアがはじめにロックダウンしたのが、2020年3月9日。 ヴェネチアに暮らすヴァレンティーナさんとジュリさんはルームメイト。外出できなくなってしまったロックダウン下での自宅での長い時間を前に、昔の人はペストのときにどう過ごしていた…

第101号:Camino Islandの書店ベイ・ブックス・・・「グレート・ギャツビーを追え」

2017年にアメリカで刊行されたジョン・グリシャム「グレート・ギャツビーを追え」(原題「Camino island」)を読みました。訳者は村上春樹さんです。 読み終わって、一言いうなら、「あー、面白かった~」です。 久々に面白くて夢中になって読んだ本でした。ジ…

第100号:ヴァーラーナシーに行ってから読みたい・・・「象牛」

石井遊佳さんの「象牛」を読みました。以前、TBSの深夜番組「ゴロウデラックス」という稲垣吾郎さん司会の読書バラティーがやっており、毎週楽しみにしていました。(その番組は惜しまれながら、SMAP騒動の少しあとに終了してしまいました・・・涙) その番…

第99号:聖地カイラス巡礼コルラ・・・「旅がなければ死んでいた」

坂田ミギーさんの「旅がなければ死んでいた」を読みました。センセーショナルなタイトルですが、旅っていいなあって思わせてくれる本でした。 著者は広告の制作会社で活躍していていましたが、30歳を前にしてうつ状態に陥ってしまいます。そこですっぱり会社…

第98号:2001年のグレート・ロサンゼルス・・・「夏への扉」

あけましておめでとうございます。昨年もお読みいただき、ありがとうございました。 昨年は、このブログと連動してInstagramも定期的に発信するようになり、皆さまに読んでいただき、反応を返していただきました。本好きの方がこんなにもいるんだと、密かに…

第97号:薄氷という名のお菓子・・・「好日絵巻」

森下典子さんの「好日絵巻」を読みました。読みましたというよりも、愛でて楽しんだという方が正しいかもしれません。 「日日是好日」「好日日記」に続き、この「好日絵巻」は季節ごとに、森下さんが愛しく思う茶器やお茶菓子が描かれています。あとがきで、…

第96号:淡水河の景色・・・「魯肉飯のさえずり」

温又柔さんという著者の「魯肉飯(ロバプン)のさえずり 」 を読みました。ここのところ、新聞の書評でよく紹介されていました。魯肉飯をルーローハンと読むのは中国語で、台湾語ではロバプンだそうです。 主人公桃嘉(ももか)は、大学を卒業後すぐに聖司と…

第95号:Seiji Ozawa Matsumoto Festivalに行く前に読んでおきたい1冊・・・「小澤征爾さんと、音楽について話をする」

2011年11月に刊行されていた「小澤征爾さんと、音楽について話をする」をいまさらながら読みました。クラシック音楽についての話が中心で、特に小澤征爾氏がバーンスタイン氏のアシスタントをしていた時代の話、カラヤン氏に師事していた時代の話、また小澤…

第94号:満洲を知ることはファミリーヒストリーを知ること・・・「満洲ラプソディ:小澤征爾の父・開作の生涯」

「満洲ラプソディ」を読みました。満洲を多民族が共生する理想の国にするために奔走した小澤開作氏(小澤征爾氏の父)のお話です。 ストーリーは冒頭、小澤征爾氏が北米でも活躍していた昭和41年に、父である小澤開作夫妻がカナダ・アメリカ旅行に行った際に…

第93号:「アイラ島。シングル・モルトの聖地巡礼」・・・『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

先日「村上T」でジュラ島の蒸溜所のことを書いたところ、1999年に刊行されたこの本『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』のことを友人が教えてくれました。私はこの本はまだ読んでおらずスルーしていたようです。 「村上T」でもジュラ島とともにアイ…

第92号:ブラジルのヤマに暮らす人々・・・「赤い砂を蹴る」

ワタクシゴトですが、先日まで大規模試験に向けた勉強をしており、それがやっと終わりまして、♫酒が飲める 酒が飲める 酒が飲めるぞ~♫ ならぬ、♫本が読める 本が読める 本が読めるぞ~♫と歌いたくなるほどでした。今回、試験明けに一気読みをしたのが、石原…

第91号:豊かさについて考える・・・「ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が『豊か』なのか」

2019年2月に刊行された「ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が『豊か』なのか」を読んだ。来週に試験が迫っているのに、つい手元に届いたので、一気読みしてしまった。 タイトルがセンセーショナルなので、つい読んでみたくなる本である。年290万円とはドイ…

第90号:岡山弁を聞いてみたくなる・・・「でーれーガールズ」

台風が来ていますね。去年の今頃も大きいのが来たので心配です。 10月末に私にとってはちょっと大きな試験があるので、本はエクステンシブ・リーディング、簡単にいうと速読みですが、ブログには昔読んだ本ではなくて、今読み終わったという本について書きた…

第89号:コロナ時代のはじまり in Paris・・・「なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない」

辻仁成さんの「なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない」を読みました。ご存知の通り、辻さんは現在パリ在住。 2月1日~6月6日までを日記形式で書いています。この時期パリは、ロックダウン開始前~解除後にあたります。現在の辻さんの日記はウ…

第88号:ジュラ島へ行ってみたくなる・・・「村上T 僕の愛したTシャツたち」

猛暑の夏で、もう秋はこないんじゃないかと思っていた日もありましたが、一足飛びに秋になってしまいました。急に肌寒くなりましたね。 2020年6月に発行された「村上T」を読みました。ただのTシャツ本とあなどるなかれ。 さすが村上さんならではのTシャツと…

第87号:上野の山・・・「夢見る帝国図書館」

中島京子さんの「夢見る帝国図書館」を読みました。友人がこの本を贈ってくれました。本を贈られたり、贈ったりって、すごく嬉しいし、ワクワクします。 さて、この「夢見る帝国図書館」は、かつて帝国図書館と呼ばれ、戦後GHQ主導で憲法制定してからは国立…

第86号:書店兼貸本屋兼出版社、のちに図書館別館・・・「アルジェリア、シェラ通りの小さな書店」

カウテル・アディミ著「アルジェリア、シェラ通りの小さな書店」を読みました。 実在の伝説的出版人であったエドモン・シャルロが、アルジェで初めに開いたハマニ通り2番地2(旧シェラ通り)の書店<真の富>に端を発したストーリーです。 話は、2つの時代…

第85号:続・やはりナポリ・・・「 ナポリの物語4『失われた女の子』」

おはようございます。 ついに、エレナ・フェッランテの「ナポリの物語」が今回読了した第4巻で完結となりました。第1巻の冒頭で、トリノに住むエレナとリラの息子リーノが電話でリラの不在について話す印象的なシーンが出てきます。そのシーンは謎のまま、話…

第84号:サルデーニャの蜂蜜は、未知の味・・・「サルデーニャの蜜蜂」

今週はお盆ウィーク。いつもの夏とだいぶ違いますね。 遅ればせながら、内田洋子さんの「サルデーニャの蜜蜂」を読みました。 この本は、タイトルとなっている「サルデーニャの蜜蜂」含む、15編から成ります。ノンフィクションだそうです。いつもながら、内…

第83号:香櫨園の浜辺・・・「猫を棄てる」

村上春樹さんの「猫を棄てる (父親について語るとき)」を読みました。冒頭、このタイトルのエピソードが書かれています。 村上氏は父親と2人、当時住んでいた夙川から2キロほどの香櫨園の浜辺の防風林の雌猫を置いてくるシーンが出てきます。(その後につ…

第82号:第一牧志公設市場向かいの古本屋さん・・・「市場のことば、本の声」

こんにちは。 7月だと言うのに、この寒さってないですね。長袖のブラウスにカーディガンを着込んでも、まだ寒いほどです。気がつけば1カ月以上、このブログもお休みしておりまして、失礼いたしました。 今日、ご紹介する本は、那覇の第一牧志公設市場の向か…

第81号:エンナは季節のはじまりの地?・・・「ギリシャ神話」

ギリシャ神話は好きで、今までもいろいろな本を拾い読みしていました。 本によってディテールには違いがあり、話自体もやや奇想天外ではありますが、その世界観は日本人が「古事記」「日本書紀」を断片的にも知っているように、馴染んでいるようです。 今回…

第80号:ローマ発信・・・「コロナの時代の僕ら」

パオロ・ジョルダーノ著の「コロナの時代の僕ら」を読みました。ここ最近話題の本です。 著者はイタリア人で、物理学を学んでいたこともあり、数学的な要素を盛り込んだ処女作の『素数たちの孤独』では、イタリアで権威あるストレーガ賞を受賞しています。プ…

第79号:歴史的な日々の記録・・・小説『喝采』

皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。 コロナ禍以降、SNSでおもしろ動画や応援動画を送りあいシェアすることが流行っていますが、皆さんはいかがでしょうか。 今回は友人からの情報で教えてもらいましたが、コロナ禍によりロックダウンされたパリにいた原田…

第78号:元祖マヨネーズ、その味は?・・・「さよならは小さい声で」

あっという間に1週間が過ぎていきます。片付けやら、なんやらやることは多いですね。 今回も松浦弥太郎さんのエッセイにしました。2013年に発行されたものを集めた「さよならは小さい声で」。2016年に文庫化されています。 最近、ご近所のマダムと松浦さんの…

第77号:東京砂漠ならぬ、パリの砂漠・・・「パリの砂漠、東京の蜃気楼」

自粛生活が長引いていますが、いかがお過ごしでしょうか。 時間があるのでいろいろやりたいことはあるのに意外と進まないので、朝目が覚めると無力感を感じたりもします。たとえば、夜になってやっと本が読めるとベッドに入ると、本も読まずに朝まで眠ってし…

第76号:気になる書店・・・「場所はいつも旅先だった」

松浦弥太郎さんといえば、『暮らしの手帖』の現在の編集長から2つ前の編集長です。文筆家であり、書籍商となっていますが、ご本人はカテゴライズされるのはお好きでないようで、そういうところに私も共感しています。 さて、『場所はいつも旅先だった』は200…

第75号:ジュデッカ島にて・・・「対岸のヴェネツィア」

内田洋子さんの「対岸のヴェネツィア」を読みました。以前ブログに書いた「十二章のイタリア」を読んだあとにこの本を買っていたのに、カバーをかけたままなぜか本棚に入れっぱなしになっていて・・・。 「今さらヴェネツィアでもないでしょうに。」と周りの…

第74号:ローマのテベレ川近くに住む家族の話・・・「靴ひも」

もしも忘れているのなら、思い出させてあげましょう。私はあなたの妻です。 この強烈な手紙の一節から始まるドメニコ・スタルノーネ著の「靴ひも」を読みました。少し前に新聞各社の週末の書評に出ていたので気になっていました。やはりイタリア自体が好きな…