アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」の読書会は、第5巻が終了しました。いよいよ、あと2巻です。いまさらながら、このような長編の愛憎劇の繰り広げらる話をいままでの私は読んでこなかったと実感しています。
復讐のための立ち回る主人公モンテ・クリスト伯から気持ちが離れてしまった自分というのを時々感じますし、今まで見ていないもの・見たくなかったものを見ることは、時に苦痛を伴います。でも、見たくないものを見て考えることというのが、この小説に限らず、今の時代には大切なのではないかと思います。
さて、『モンテ・クリスト伯』の話に戻りますが、舞台はマルセイユ、ローマ、3巻以降パリとなっています。
マルセイユでの裏切り、その当事者を追いかけるようにモンテクリスト伯はパリの社交界に現れるのですが、その宿敵の一人ヴィルフォールの邸宅はフォーブル・サントノレ通りにあります。
フォーブル・サントノレ通りといえば、ルーブルから近く、ルーブルの横を通るリヴォリ通りと並行する通りで、高級ブランドのお店が連なるパリを代表する品の良いショッピングストリートです。
『モンテ・クリスト伯』がJournal des débats (ジュルナル・デ・デバ)という新聞に連載されていた時期は1844~1846年です。
物語としては、それよりも20-30年前の時代を舞台にしているので、その時代はヴィルフォールのような代々財を築いてきた人たちが住む高級邸宅街だったのかもしれません。この小説の中では、屋敷の裏は広い庭があり、隣接する土地は野菜畑というので、想像もできませんが、昔はそんなふうだったのかなと考えてみるものいいかもしれません。
モンテ・クリスト伯 5 / アレクサンドル・デュマ著 ; 山内義雄訳
東京 : 岩波書店 , 1956.8
353p ; 15cm