umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

第67号:大阪は夏子の生まれ育った街・・・「夏物語」

川上未映子さんが先日NHKの朝イチに出ていましたが、ちょうど「夏物語」を読んでいました。 主人公夏目夏子の出身地である大阪。姉の巻子と孫娘で、夏子の姪の緑子は大阪に(「笑橋」という地名で)住んでいるという設定です。 冒頭では、ある夏に巻子と小学…

第66号:「マチネの終わりに」の洋子の住んでいたパリ

先日新聞にシャンゼリゼ通りのライトアップが始まったとありましたが、気が付けば、もうアドベントシーズンに入っていますね。 11月1日から公開した映画「マチネの終わりに」を早々に見に行っていたのに、書くのがだいぶ遅くなってしまいました。 単行本で平…

第65号:貴方の巡礼の目的は?・・・「スペイン巡礼 緑の大地を歩く」

前回の第64号に引きつづき、サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅行記を読みました。今回は、渡辺孝さんの「スペイン巡礼 緑の大地を歩く」という本です。 前回の「人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅」と同じくサン・ジャン…

第64号:いつかは巡礼路・・・「人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅」

まずはじめに、すっかりご無沙汰しており、失礼いたしました。 サマーヴァケーションどころでなく、その前からだいぶ更新を怠っていました。 公私ともに忙しかったといえば、それまでですが、特に私事の雑多なことが多かった夏でした。 やっと9月に入り、台…

第63号:やはりナポリ・・・「 ナポリの物語3『逃れる者と留まる者』」

エレナフェッランテの待望の第3巻が発売になり、楽しみにしていたのですが、やっと読みました。 あらすじを少し・・・ 第2巻のリラの夫婦生活の破綻、イスキア島でのニーノとの蜜月の末に、リラがニーノには秘密で出産した息子。リラとその息子の庇護を買っ…

第62号:THE BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL に入居希望・・・「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」

フィンエアーの機内で暇つぶしに、映画「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章 」を見て、とてもこの映画を気に入って、帰国してから、第1作目の「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」を急いで見ました。その後、本でも読んでみたいと、同名(原題「TH…

第61号:ロカ岬へは、切手を持参して!・・・「ここに地終わり海始まる」

明日から未曽有のG.W.10連休!恐ろしい・・・! これから旅に出るお客様を抱える身としては、日本からドキドキはらはらの連休です。みんな揃って10連休って、生まれて初めての出来事ですしね。ヨーロッパを担当する身としては、24時間体制になると覚悟の上で…

第60号:1980年という年・・・「ボローニャの吐息」

2017年に発行された内田洋子さんの「ボローニャの吐息」は、ジャケ買いならぬ表紙買い&タイトル買いしてしまった本である。 タイトルは、ボローニャ?と思い、よく見ると表紙はボローニャの屋根付きアーケード「ポルティコ」と煉瓦の聖堂の夜の様子を撮影し…

第59号:平和でないと旅には出られない・・・「帰還 父と息子を分かつ国」

2018年11月日本で翻訳されたリビア人の作家ヒシャール・マタール著の「帰還」を読んだ。近い過去で、問題が解決していないことにやるせない気持ちになった。 著者は1970年ニューヨーク生まれである。両親はリビア人で、著者は父の赴任先で生まれた。幼少期を…

第58号:マウリッツハイツ美術館の窓・・・「常設展示室」

原田マハさんの「常設展示室」を友人から借りた時に、表紙の絵を見て、「あっ、この配置、見たことある」と思わず言ってしまいました。 この本の装丁は、オランダのハーグにあるマウリッツハイツ美術館の展示室の写真です。フェルメールの「デルフトの眺望」…

第57号:ドナウの水面を想う・・・「ドナウの旅人」

いまちょうど、ブダペストに行くお客様への案内を考えていた。 前号のプラハでも書いたように、中欧の旅の1つとしてハンガリーのブダペストには、以前はよく行った。ドナウ川をはさんで、西側のブダ地区と東側のペシュト地区が一緒になってブダペシュト。 ド…

第56号:プラハの春を知るきっかけに・・・『プラハの春』

先週の米原万里さんが子供時代に住んでいたプラハについて書きましたが、以前夢中になって読んだ春江一也さんの本を思い出しました。 三部作で、『プラハの春』『ベルリンの秋』『ウィーンの冬』。 最初の2作は、立て続けに夢中で読んで、3作目は発売になる…

第55号:ヨーロッパのおへそである中欧のプラハ・・・「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

昔、私が添乗員をしていたころ。プラハと一緒にベルリン、ドレスデンやブダペストと合わせて行くツアーが多く、新しい国に入るときには、その国の歴史の概要を案内していた。 歴史といっても、それぞれに長い歴史がある国で、とても全部は話せないので、チェ…

第54号:和解の家・・・「帰れない山(LE OTTO MONTAGNE)」

本年もよろしくお願いいたします。 昨年末に母が急逝し、ほぼ何も考えることができずに日々が流れていきました。 新年になり少しずつですが、自分自身で日常を取り戻していこうと思い始めた今日この頃です。 さて、今年1冊目の本は、すでに12月に入ってから…