umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

2021-01-01から1年間の記事一覧

第110号:ナポリの「心付けのコーヒー」・・・『ジーノの家 イタリア10景』

内田洋子さんの「ジーノの家」を久しぶりに読み直しました。 短編、でもそれはジャーナリストの内田さんらしく、全部本当にあったお話だということで、こんな出会いがあるのね~、などと思いながら読んでいます。 イタリア10景という名のとおり、各地での話…

第109号:いまの南樺太は?と考えてみる・・・「熱源」

2020年2月、第162回直木賞を受賞した川越宗一氏の「熱源」を読みました。 読みたいと思いつつ、だいぶ遅くなってしまってしまいました。 日本語を学ぶ中で、アイヌ語、そして先住民であるアイヌ人について、私自身少しでも知るきっかけにしたいと思って読み…

第108号:映画の舞台はトリノ・・・「素数たちの孤独」

昨年「コロナの時代の僕ら(原題 Nel Contagio)」を書いたパオロ・ジョルダーノの2008年に出版された処女作「素数たちの孤独」を読みました。久しぶりに、読みながら主人公の二人の先行きが気になってしかたのない小説でした。 この小説では、2人の男女が主…

第107号:ヘルシンキ周辺とタリンを一人旅・・・「考えごとしたい旅」

2020年12月、コロナ禍で発売された益田ミリさんの「考えごとしたい旅 フィンランドとシナモンロール」を読みました。まさに、私が推奨する”バーチャル一人旅”にぴったりの本でした。 益田ミリさんが、2017年の6月末、2018年8月終わり、2019年の12月初旬に3回…

第106号:六甲山の上にあるホテルのカフェ・・・ウィズ・ザ・ビートルズ/With the Beatles

村上春樹さんの8つの短編からなる「一人称単数」を今更ながら読みました。2018年7月号の「文學界」で以前、3つの短編はすでに読んでいたのですが、今回再読し、残り5つの短編も読みました。 あらためて、短編小説もいいなあを思っていたのですが、そのなかで…

第105号:母娘の記憶の中の海の町は、もしやフィゲラス??・・・「銀の夜」

角田光代さんの「銀の夜」を読みました。 なぜ、この本に行き当たったのか、記憶にはないのですが、図書館からリクエストの本が届いたと連絡がきて、早速借りてきました。 著者らしく、それぞれの心の片隅にありそうで、他人(ひと)には話せない心理をうま…

第104号:鹿嶋への旅・・・「旅する練習」

東京は3度目の緊急事態宣言に入り、今年もまた旅にも出られないゴールデンウィークになってしまった。私にとっては、ここのところ、やらなければいけないことばかりが頭をもたげ、心がざわざわ、本が読めない日々だった。 ゴールデンウィークに入って、やっ…

第103号:ミラノの旧コルシア・デイ・セルヴィ書店・・・「霧の彼方 須賀敦子」

もっとちゃんと須賀敦子さんの本を読んでおけばよかったのに・・・と思ったのは、2000年代後半になって、私が旅行会社でツアーの企画をするようになってからだった。2000年代前半、イタリアによく添乗に行っていた頃に読んでいたら、もう少し違った見方がで…

第102号:2020年ロックダウンのヴェネツィアで「DECAMERON」を読むところから始まる・・・デカメロン2020

COVID-19で、イタリアがはじめにロックダウンしたのが、2020年3月9日。 ヴェネチアに暮らすヴァレンティーナさんとジュリさんはルームメイト。外出できなくなってしまったロックダウン下での自宅での長い時間を前に、昔の人はペストのときにどう過ごしていた…

第101号:Camino Islandの書店ベイ・ブックス・・・「グレート・ギャツビーを追え」

2017年にアメリカで刊行されたジョン・グリシャム「グレート・ギャツビーを追え」(原題「Camino island」)を読みました。訳者は村上春樹さんです。 読み終わって、一言いうなら、「あー、面白かった~」です。 久々に面白くて夢中になって読んだ本でした。ジ…

第100号:ヴァーラーナシーに行ってから読みたい・・・「象牛」

石井遊佳さんの「象牛」を読みました。以前、TBSの深夜番組「ゴロウデラックス」という稲垣吾郎さん司会の読書バラティーがやっており、毎週楽しみにしていました。(その番組は惜しまれながら、SMAP騒動の少しあとに終了してしまいました・・・涙) その番…

第99号:聖地カイラス巡礼コルラ・・・「旅がなければ死んでいた」

坂田ミギーさんの「旅がなければ死んでいた」を読みました。センセーショナルなタイトルですが、旅っていいなあって思わせてくれる本でした。 著者は広告の制作会社で活躍していていましたが、30歳を前にしてうつ状態に陥ってしまいます。そこですっぱり会社…

第98号:2001年のグレート・ロサンゼルス・・・「夏への扉」

あけましておめでとうございます。昨年もお読みいただき、ありがとうございました。 昨年は、このブログと連動してInstagramも定期的に発信するようになり、皆さまに読んでいただき、反応を返していただきました。本好きの方がこんなにもいるんだと、密かに…