長編である「モンテ・クリスト伯」を私はある読書会に参加して、読書会メンバーとともに読み進めました。このプログがアップされる頃には、その読書会はすでに終わっている頃かと思います。
「モンテ・クリスト伯」というと、一般的に復讐劇よね。とか、私よりもう少し上の世代だと、「あー、巌窟王の!」という方が多いのですが、読んでみるとそんな単純な話でもないようです。
今回まず1巻目を読んでみて、主人公ダンテスの数奇な運命の始まりと、その周辺で暗躍する人、ダンテスを心配する善良な人びと、賢者との出会いなど、悲喜こもごものストーリーが展開しました。
舞台はマルセイユ。
主人公ダンテスは航海から戻り、愛するメルセデスという女性にプロポーズします。メルセデスも高鳴る気持ちでOKしてダンテスは彼女との婚約式の日を迎えました。しかし、その最中、えん罪により連行されてしまうのです。
そのメルセデスと、メルセデスの幼なじみで恋心をずっと抱いていたフェルナンの住んでいた村がカタロニア村という名前です。
いきなり出てくるカタロニア村。スペインのカタロニア(カタルーニャ)にしては遠い、じゃあフレンチ・カタロニア?いやそれでもかなり遠い。どこだろう???と考えていました。
そうしたところ、マルセイユ在住の人と仕事で会うことがあり、聞いたところ、マルセイユの中心エリアのすぐ近くに、現在カタロニア海岸(プラージュ・デ・カタラン
Plage des Catalans)と呼ばれるビーチがあり、ここには15世紀頃スペインのカタロニアの人が住み始めたという歴史があるようです。
どおりで作中に主人公ダンテスが牢獄の島である”シャトーディフ”に船で連れて行かれるときに、カタロニア村の明かりが見えたと書いてあるわけだと理解できたのでした。
最後に、余談にですが「モンテ・クリスト伯」の読書会に参加することにしたことを書きます。以前、パリ郊外のポール・マルリーという小さな町のアレクサンドル・デュマが多額の資金を投じて作った日本名でいうと”モンテ・クリスト城”に以前ツアーの添乗で行ったことがきっかけでした。
実は、私、「巌窟王」知らなければ、「三銃士」さえも、マンガや人形劇でもちゃんと見たことがなく、作者のアレクサンドル・デュマについて、この場所に行くまで全く知りませんでした。添乗員でありながら、誠にみっともない話で、それが自分の中に印象に残っていて、読書会に参加しました。
マルセイユに行ったときにも、沖に見えるイフ島がこの「モンテ・クリスト伯」に出てくる”シャトー・ディフ”のモデルになっているとガイドさんに聞いたこともあったのに、その時は、全然興味も持たなかったです。
そんなことを何十年がぶりにふと思いだし、参加しました。
モンテ・クリスト伯 / アレクサンドル・デュマ著 ; 山内 義雄訳
東京:岩波書店 , 1956.2
353p , 15cm
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