「モンテ・クリスト伯」の読書会がついに終わりました。
岩波文庫は第七巻で物語が終わります。
個人的には、主人公モンテ・クリスト伯(ダンテス)から気持ちがすっかり離れてしまったので、ひたすら物語に出てくる地に思いを馳せるヴァーチャルトリップ専門家のような感じで読み進めました。
さて、第三巻はローマが舞台で、個人的にはとても好きな巻でした。
三七「サンセバスチャンの塋窟(えいくつ?)」という話があります。
塋には墓という意味があるようです。「塋窟」にカタコンプとルビがついていました。
ここではアルベールがローマの城壁の外に出て、山賊の捕らえられてしまうのですが、その山賊の首領がルイージ・ヴァンパです。
ローマの城壁の外は、カンパーニャ・ロマーナといい、ルイージ・ヴァンパの一味がいるのがサンセバスチャンのカタコンプ(カタコンペ)となっています。
サンセバスチャンのカタコンプは、旧アッピア街道付近にある地下墓地で、現存しています。
ルイージ・ヴァンパは、そこを巣窟として活動し、時には忠実なモンテ・クリスト伯の手下として働きをします。
そして、最終第七巻でも再度登場し、モンテ・クリスト伯の復讐の最終段階に手を貸すのでした。
山賊が住み着くのが、ローマの城壁の外の無法地帯にある髑髏(しゃれこうべ)がひしめくようなカタコンプというのは、なんとも不気味さがあります。
話が逸れますが、サンセバスチャンのカタコンプの近くを通るアッピア街道。
旧アッピア街道は、日本の松とはちょっと違う、背の高い松が街路樹となっています。
そのようすを見ると、作曲家オットリーノ・レスピーギ「ローマの松」の交響曲を思い出します。
サンセバスチャンのカタコンペに行ったときには、是非旧アッピア街道(アッピア・アンティカ通り )にも足をのばしていただきたいです。
モンテ・クリスト伯 / アレクサンドル・デュマ著 ;山内義雄訳
東京 ; 岩波書店 , 1956