umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

第125号:旧李王家東京邸・・・「李王家の縁談」

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2021年11月に発刊された林真理子さんの「李王家の縁談」を読みました。

明治末期から戦後までを、梨本宮伊都子の目線で書かれた小説です。梨本宮伊都子は日記を残したことで知られています。

 

現在は断絶した梨本宮ですが、伊都子は鍋島家から梨本宮守正の元へ嫁いでいます。この小説の中では、伊都子には2人の娘がおり、出来れば宮家との縁談をと望みながら、妥協もしながら、縁談相手を見つけていきます。宮家の縁組みというのは、その双方の年格好や家の格やその他複合的な要素があり、なかなか難しいことがうかがえます。

 

そして、長女の方子(まさこ)を本当は日本の宮家へ嫁がせたいとは思いつつ、朝鮮王朝の李王家の王世子の元へ嫁がせることにします。日韓併合を機に王世子は日本におり、日本語も堪能です。「日朝融合の証」という大義と日本と本国から潤沢なる資金が送られているのも魅力の一つだった様子がうかがえます。

 

しかし、時代は明治から大正へ移り、関東大震災なども起こり、朝鮮人への差別やデマが強くなっていく様子があり、なかなか難しい立場にあることがわかります。

 

王世子と方子のチューダー様式の洋館はいまも残っています。旧赤坂プリンスホテル、現在の東京ガーデンテラス紀尾井町の東側に現存し、赤坂プリンス クラシックハウスと呼ばれ、ウエディングなどで使われています。ここは太平洋戦争の時にも壊れることがなかったそうです。

 

V字型をした旧赤坂プリンス(赤プリ)が建て直されてから、もうだいぶ建ちますが、赤プリといえば、私は大学の卒業謝恩会の会場でした。大学が中途半端なせいか、会場も少し中途半端感があり、らしいなあと思った記憶があります。

 

でも、その裏手にこんな素敵な洋館があったなんて、この本を読むまで知るよしもありませんでした。

 

私の祖父の代には東京にいたようですが、さらに系図を辿ると会津若松につながります。賊軍とされてしまった会津藩、それ以外の東北の藩の人たちの事も考えてしまいました。

 

李王家の縁談

李王家の縁談 / 林 真理子著

東京 : 文藝春秋 , 2021.11

p247 ; 20cm