この1800年代中盤の物語(1844年から1846年新聞連載)でも、パリに住む貴族だったり、著名人たちは、亡くなるとペール・ラシェーズの墓地に眠ることが書かれています。
この物語でも、ヴィルフォールの家のヴァランティーヌが丸薬を飲んだ後に亡くなってしまうシーンが出るのですが(ネタバレするので詳しくは書けません)、ヴァランティーヌが埋葬されるのも、このペール・ラシェーズの墓地でした。
場所はパリの中心から東寄りの11区と20区の境にあります。
東京で言ったら、谷中霊園とか青山墓地とかいう感じで都会にあるけれど、そこだけとても静かで昔と変わらない姿を残す墓地です。
私がツアーを作っている会社にいた頃、やたらコースにペール・ラシェーズを入れたがる上司がいて、悪趣味だと感じたことがあります。誰かを偲ぶためにこっそり出かけていくにはいいと思いますが、興味がない人たちを連れて団体で行くなんてナンセンスだなと思いました。
だから、ペール・ラシェーズの名を聞くと、そんな上司にも一言意見もできなかった自分を思い出します。
モンテ・クリスト伯 / アレクサンドル・デュマ著 ;山内義雄訳
東京 ; 岩波書店 , 1956