umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

2017-01-01から1年間の記事一覧

第27号:「前世への冒険」に自分をかさねて、フィレンツェへ

「前世への冒険」は、著者の森下典子さんのノンフィクションのお話で、だいぶ以前に女優の杏ちゃんがこの原作の特番ドラマに出ていて、それに触発されて原作を読んだのでした。 ドラマを見た時もそうでしたが、原作を読んで、さらに引き込まれて、私も自分の…

第26号:「クリスマスのおはなし」のベツレヘム・・・2017年前のクリスマスを想像して

明日はクリスマス・イブですね。今週、小学校の読み聞かせに行き、その時に読んだ本です。絵と文はジェーン・レイという人が書いている「クリスマスのおはなし」。 日本人にとってはクリスマスは、イベントというイメージが強いのではないでしょうか?バブル…

第25号:赤い町・・・「ボローニャ紀行」

もう10年以上前に、友人がボローニャに留学していて、2週間弱遊びに行ったことがある。友人はもう間もなく帰国というところで、学校もお休みができない状況だったので、私はひとりボローニャの町と、その近隣の町へ毎日出かけた。ラヴェンナやフィレンツェ、…

第24号:ベルニーニの道しるべ❝セーニョ❞・・・「天使と悪魔」

ダン・ブラウン原作の「天使と悪魔」は2009年に、トム・ハンクスを主役に映画化された。2006年には、同じくダン・ブラウン原作の映画「ダ・ヴィンチ・コード」がすでに大ヒットしていた。 「天使と悪魔」は小説としては、「ダ・ヴィンチ・コード」よりも先に…

第23号:カンヌで再起をはかった男・・・「ビザンチウムの夜」

アーウィン・ショーの作品は、私の性に合っているようで、どれも好きだ。ニューヨーカー・スタイル(洗練された都会小説と言われる)を作り上げた作家の1人である。でも、日本ではあまり人気がないようで、以前、常盤新平さんが翻訳したことのある『サマード…

第22号:モンテレッジョ・・・いにしえの本の行商人たち「十二章のイタリア」

今年7月に出版された内田洋子さんの「十二章のイタリア」を読む。 ミラノに在住していた須賀敦子さんが亡くなられてだいぶ経つ。私はオンタイムで須賀さんを読んでいたわけではないけれど、須賀さんが書いていたイタリアの日常を映す文章は、なんとなく私の…

第21号:ニースにある"L’hôtel-Pension Mermonts"の建物は、今も健在。「夜明けの約束」

今年6月に、日本語訳の初版として発刊されたロマン・ガリ著「夜明けの約束」は、ロマン・ガリの自叙伝的小説であるにも拘わらず、著者の死後37年たった今年、日本で発売され話題となった。ロマン・ガリは小説家であり、映画監督、外交官でもあった。 1914年…

第20号:『心変わり』・・・ローマへの列車の中で

先日、お客様のローマの旅の手配をしていて、ボッロミーニが設計したサン・カルロ・アッレ・クアトロファンターネ教会の近くのホテルを予約した。このクワトロフォンターネという名前の通り、4つの泉が四つ角にある近辺には、バロック全盛のころ、ボッロミー…

第19号:はじまりの書「古書店めぐりは夫婦で」と「旅に出ても古書店めぐり」

何を隠そう私の老後の目標は、古書店の店主になること。 古書と古書店自体に関心を持ち始めたきっかけは、この本、ローレンス さんとナンシーさんの ゴールドストーンご夫妻が書いた「古書店めぐりは夫婦で」だった。この本を読んだとき、稲妻が落ちたような…

第18号:「リラとわたし」にみるナポリの素顔の一つ

エレナ・フェッランテ著の「リラとわたし(ナポリの物語)」で描かれるナポリは、私が観光で目にしてきた、サンタルチア海岸、ヌオーヴォ城、王宮、ムニチピオ広場や、スパッカナポリとも少し違うナポリだった。 この小説は、アメリカでも人気があったそうだ…

第17号:「昔も今も」、気になるイーモラ

イタリアの中部、ボローニャから列車で30分の場所にあるイーモラ。小さな町ではあるが、車好きならばイーモラサーキットを思い起こすかもしれない。 この町に関心を持ったのは、この天野 隆司訳の、サマセット・モームの「昔も今も」と遭遇して読み始めてか…

第16号:「南国に日は落ちて」の南国とは?

須賀敦子さんの本を読んでいるときに、読書家の須賀さんがこの本について書いていた。須賀さんは、作家というだけでなく、イタリア語の翻訳も手がけていた。勝手にむすびつけるが、村上春樹さんとの共通点でもある。 私は村上主義者でもあり、須賀主義者。笑…

申し訳ありません。今週も休刊です。

みなさん、こんばんは。 先週、今週ともに、どうしても立て込んでまして、お休みとさせていただいております。来週は少し落ち着いている予定ですので、必ず書きます!お許しください。

第15号:「リスボンへの夜行列車」に乗ってみようか

主人公のグレゴリウスは、スイスのベルンにあるギムナジウムでヘブライ語、ギリシャ語の教師をしていた。 ある雨の日に勤務するギムナジウムへ向かう途中のキルフェンフェルト橋から飛び降りようとした女を彼は引き留め、その女に「あなたの母国語はなんです…

第14号:「優雅なハリネズミ」の住む場所?

サマーバケーションとして、7月7日の七夕の京都の記事からずっとお休みしていましたが、旧暦の七夕も過ぎて、そろそろバケーションも終わりでしょ、という時期になりました。 もうすっかり秋ですね。こんなに夏が短く、物足りなさを感じた夏って、ここ最近あ…

第13号:ほんとに「京都ぎらい」?

著者の井上章一さんが、以前BSの「久米書店」という番組に出ていました。「久米書店」自体が終わってしまったので、私としては寂しい限りなんですが、そこで著者自らこの本を紹介されていました。 生粋の京都人が言う、本当の「京都」という範囲は本当に狭い…

第12号:今現在のテヘランは?「テヘランでロリータを読む」

「テヘランでロリータを読む」は、先日読んだ西加奈子さんの「i」にも重要な要素として出てきていたので、読んでみたいと思っていた。 タイトルからすると「ロリータ」と出てくると、なんとなくセンセーショナルで、1997年のジェレミー・アイアンズ主演の映…

第11号:「本格小説」で描き出される古き良き軽井沢

おはようございます。 梅雨の晴れ間というのは、なんとも気持ちが良く、とても好きなひと時です。 このブログを書くために、書きためてきた感想文ノートを何冊も見返しますが、そうすると不思議と仕事のストレスや、落ち込んでいたこともふっと消え、また歩…

第10号:「リーチ先生」がたどり着いた地

“リーチ・ポタリ―”と呼ばれるバーナード・リーチの窯があるイギリスのコンウォール州のセント・アイヴス。 以前勤めていた旅行会社で、コーンウォールを観光するツアーがあって、セント・アイヴスを入れていたことがある。バーナード・リーチを知る人にとっ…

第9号:いつかは自分の足で歩いてみたいサンチャゴ巡礼道「巡礼コメディ旅日記」

1週間はあっという間に過ぎていきますね。年52週、第52号まであっという間かもしれません。 著者はドイツ人のコメディアンのハーペイ・カーケリングさん。2009年にドイツで発刊されてベストセラーになった「巡礼コメディ旅日記 僕のサンチャゴ巡礼の道」は、…

第8号:ボヴァリズム(bovarysme)という言葉の発端「ボヴァリー夫人」

フローベール著の「ボヴァリー夫人」を読んで、数年たってから、水村美苗さんの新聞小説「母の遺産」で、フランスへ留学していた学生時代に、夫とパリで出会い恋に落ち結婚した主人公が、夫の浮気や母の介護などに遭遇していく小説の中で、この”ボヴァリズム…

第7号:ヴィッラ・アドリア―ナに思いを馳せて…「ハドリアヌス帝の回想」

3月にローマに行ったときに、ほんとうは行きたかったのが、ローマの東30kmにあるヴィッラ・アドリア―ナ。ハドリアヌス帝(即位117-138年)が晩年に築いた別荘である。以前、私と同じように「ハドリアヌス帝の回想」を読んだお客様が、個人で行ったが交通の便…

第6号:いざ鎌倉、ってほどでなくても鎌倉へ。「ツバキ文具店」

先日、NHK総合テレビでドラマが放送されている「ツバキ文具店」。原作は、小川糸さん。単行本自体は2016年4月に初版が発行された。ドラマの方では、副題に”鎌倉代書屋物語”となっている。ドラマは途中まで見たところ、本の筋書きとは、ちょっと違うよう。 主…

第5号:「日はまた昇る」を読むと、パンプロ―ナに行きたくなる。

ヘミングウェイ著「日はまた昇る」もまた、高見浩氏により2003年に新訳版が出されている。新訳版を読み直して、またあらためていいなあと思った。 主人公ジェイク・バーンズ♂はアメリカ人。アメリカが禁酒法の時代に、パリでは禁酒はなく、アメリカ人にとっ…

第4号:「コレラの時代の愛」のコレラの時代って?

GW真っ只中、今年は圏央道も開通して常磐道が例年になく渋滞しているとか。休日だと曜日の感覚もなくなってしまいますね。今日は、2014年に87歳で逝去したG・ガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」について。 私の好きな俳優の5位以内に入るジョン・キュ…

第3号:サラエボ・ハガタ―は何処に?「古書の来歴」

ジェラルディン・ブルックス著のこの「古書の来歴」で、初めて「サラエボ・ハガタ―」というものを知った。 「ハガタ―」はユダヤ教のすぎこしの祭りの晩餐で使われる書物であり、それはユダヤ教の人々にとって、大変重要なものであることがわかる。といっても…

第2号:「ローマは光のなかに」

3月末に、久しぶりにローマに行った。いろいろな都市に行ったけれど、結局一番好きな都市は、やっぱりローマだなと思う。 そんなとき、映画「ローマの休日」のラストの記者会見のシーンで、オードリー・ヘップバーンが演じるアン王女が、一番良かった街を訊…

第1号:パリは「移動祝祭日」

先日、私が担当しているご夫婦がパリに約3週間滞在の旅に出た。若きアーティストなので、パリでの生活は、とても感性を刺激するものだったようだ。 ヘミングウェイの「移動祝祭日」は私の好きな小説だ。小説というか、読んでいるとエッセイみたいな雰囲気も…

“旅と本のソムリエ”をはじめます

はじめまして。うめめだかと申します。 本日から「旅と本のソムリエ」をはじめます。なぜ今日かって、大安吉日だからです。 旅については仕事でもあり、ライフワークです。26歳で広告代理店から転職してからずっと旅行業界にいます。紆余曲折、旅行業界の片…