umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

第113号:オワーズ川のほとりの町で・・・「リボルバー」

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2021年5月に発売された原田マハさんの「リボルバー」を読みました。

この表紙の「ひまわり」とリボルバーと聞いただけで、勘のいい人はゴッホの死に関係する話かなと気づくかもしれません。

 

そこまでは、いままでもいろんな本でも書かれていますが、耳切事件ばかりが頭に浮かぶゴーギャンとの関係について、深く掘り下げているところが本書の興味深いところでもあります。

 

とはいえ、ゴッホの死については、いろいろな節があり、今も闇の中です。

 

2007年10月にイル・ド・フランスのツアーの添乗で行ったときには、ラヴー亭のオーナーはすでに何人か変わっており、2階のゴッホの部屋は観光も見据えた形ですでに整備されていたころだったと記憶しています。

 

ゴッホの終焉の地として知られるオーヴェル=シュル=オワーズはパリから列車で乗り換えなど入れて、1時間半ほどのところにあります。

 

 

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「ラヴー亭」絵の看板 *後ろの白い建物が本物のラヴー亭

このオーヴェル=シュル=オワーズの町を歩き、荒涼とした「カラスの飛ぶ麦畑」とゴッホとテオの並んだ二人の墓を見たときには、私自身、不思議なほど感極まるものがありました。

 

この小説の中でも、主人公冴がこの地に初めて訪れたときに、私と同じような気持ちを味わっていたという描写があり、私もあの日に連れ戻されたような気がします。

 

自分も学生時分に初めてここを訪れたとき、わけもなく胸がいっぱいになり、まったく予期せず涙が込み上げたことをよく覚えている。

        本書「リボルバー」より引用

ゴッホの名作と呼ばれる絵の多くは、亡くなる前の2か月足らずのオーヴェル=シュル=オワーズで描かれています。

 

この町には、名前の通り、静かな流れのオワーズ川が流れています。また、彫刻家ザッキンによるファン・ゴッホ像があり、その姿もこの町の印象とともに目に焼き付いています。

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オーヴェルの教会

私が行った頃は、それほど知られていない町でしたが、近年はとても人気があり、この小説とともに、コロナ禍でなければ、さらに日本人の観光客も増えていたのではないかと思います。この本を読まれたら、一度おでかけになることをおすすめします。

 

旅行屋としては、仕事の面でも注目していくことになりそうですが、とてもイマジネーションが膨らむ町です。

リボルバー (幻冬舎単行本)

リボルバー / 原田 マハ著

東京 : 幻冬舎 , 2021年5月

336p ;  20cm