馳星周氏の小説『エウスカディ』を読みました。
そのきっかけというのは、お客様から「バスク祖国と自由」というタイトルの旅をしたいと連絡があったからです。最初は良く分からず、??という感じでしたが、どうもそれはETAに関連することらしく、探していたらこの本にたどり着きました。
旅行の仕事でもよく扱う北スペインのバスク地方ですが、サンセバスチャンやビルバオ、ゲルニカやバスク人についてより知るきっかけになるのではないかと思います。バスク人の律義さやスペインとひとまとめにされてしまうことの違和感を読者もこの本から感じ取れるかもしれません。
簡単なあらすじとしては、スペイン・バスク地方を舞台に、1970年代の「過去」と2000年代の「現在」が交互に描かれる物語で、過去(1971年〜)のほうでは、 赤軍派のメンバー・吉岡良輝(ワルテル)は、軍事訓練を受けるためにスペインのバスク地方へ渡ります。そこで彼は、フランコ独裁政権からの独立を目指す過激派組織ETA(バスク祖国と自由)に合流。過酷なテロ闘争に身を投じる中で、現地の女性マリアと恋に落ち、組織の重要人物として重用されていきます。実際にあった首相暗殺事件の前にワルテルは亡くなりました。どういう経緯で亡くなったのかはわからないまま話は進んでいきます。
現在(2005年〜)のほうでは、元柔道スペイン代表選手のアイトール吉岡は、死別した父・良輝(ワルテル)がかつてテロリストだったという衝撃の事実をある日、知らされます。父の足跡を辿り始めたアイトールでしたが、真相を知るはずの母マリアが突如失踪し、関係者も次々と殺害される事態に陥ります。父が抱いた理想の果ては何だったのか。そして、30年以上の時を経て「現在」を脅かす裏切り者の正体は・・・。二つの時代の物語が重なり合い、思いがけない結末に突き進みます。
美食の町とされるサンセバスチャンやグッケンハイム美術館などでアートの町として再生したビルバオ、ビスカヤやサン・フアン・デ・ルス(仏語でサン・ジャン・ド・リュズ)などの地名も出てきます。
1970年代、学生運動の中心として活動していたおじ様が近所にいらっしゃって、よくその頃の話を聞かされていたので、私にとっては全く知識のない話ではなかったのですが、それでも日本の赤軍派がパレスチナのPLOやETAと一緒に活動していたとは、この小説が事実であれば私は全く知らなかったので少々驚きました。その70年代の世界的なうねりはどのようなものだったのか、いまから想像するのはなかなか難しいことではあります。
旅行に行く前に読んでいくと、もう少し違った角度からも見られるかもしれません。








