私がトゥールーズに行くに際して読んでいた帚木蓬生氏の「聖灰の暗号」ではローマ・カトリック教会に弾圧され消滅したとされるカタリ派について書かれていたが、トゥールーズを観光していた時に街の中心エリアにあるサンセルナンバジリカの近くで、サンレーモンド博物館で行われるこの「CATHARES(カタリ派)」の看板を見た。カタリ派について、とても関心を持っていたので、偶然の出会いに驚いた。でも、この展示会は私が帰国した後に行われるので見ることはできなかった。
このサンレーモンド博物館は、サンセルバンバジリカの隣に位置している。帰国してガイドブックを読みかえしてみると、サンセルバンバジリカには、「偶像崇拝を拒んで殉教した聖セルナンに奉献されている」と書かれていた。とても高い天井であるにも関わらずロマネスク様式でできており珍しいと思った。
このサンセルナンバジリカの近くには図書館がある。「聖灰の暗号」の中で、主人公アキラが最初に第1の手稿を地図の中に見つけるのが市立図書館であったが、現在は市立図書館という名の図書館はないようで、この街の中心にある図書館がそのモデルではないかと思っている。この図書館の名前は「Bibliothèque d’étude et du patrimoine」といい直訳すると「研究(学び)と文化遺産の図書館」という意味らしい。
読書をいうのは不思議なもので、関心を持つと偶然にも更なるものに出会うことが多い。この「聖灰の暗号」を読んでいなければ、おそらくカタリ派の展示会があっても看板の脇を素通りしていたと思う。