今から思えば、80年代のバブルの頃には「イタ飯ブーム」というのがあって、その流れの延長で、90年代にティラミスが流行ったのかもしれない。 当時、「エスプレッソ」として、今まで飲んだことのない苦いコーヒーが日本でも市民権を得はじめたが、イタリアで…
G.W.後半、真鶴のあたりは渋滞しているだろうなと、想像してみる。 以前は、小田原に泊まりに出かけることが結構あったので、そのついでに真鶴を横目に見ながら国道135号線をドライブしたりもした。それでも、真鶴半島の突端の三ツ石の方面まで足をのばした…
今日、たまたまテレビのチァンネルを変えていたら、BSで箱根のつつじの美しいホテルの庭が出ていた。旧三菱財閥の岩崎彌太郎の別邸だったという。それを見ていて、水村美苗さんの新聞小説「母の遺産」に出てきたのは、あ、このホテルのことかと思った。 その…
年齢を聞かれたときには、キョンキョンと同い年と答える友人が紹介してくれた本「黄色いマンション 黒い猫」。小泉今日子こと、キョンキョンが書いた本。 何の気なしに読み始めたけれど、短い文で綴られる34のエッセイは、どれもすっと入ってきて、興味深く…
2006年に単行本で、日本語訳が発売された「くそったれ、美しきパリの12か月」(原題:A year in the MERDE )。スティーブン・クラークという著者になっているが、原文では、Stephen Clarkeという名ででている。 この本は、その後、続編が出ないまま、早10年。…
先週は、お休みしまして大変失礼しました。 2月末から3月上旬にかけて、ヨーロッパは天候が大荒れでしたが、ようやく天候が回復してきた先週あたり、私の担当するお客様がどのグループも、バルセロナ、ロンドン、パリ、フィレンツェ、ローマ等に旅に出たとこ…
先日、NHKで「チョイ住みプラハ」という番組がやっていて、この番組は俳優やミュージシャン、料理人といったその世界で長年活躍してきた年配者と若手俳優が1週間程、海外のとある町で共同生活をするという番組。自炊をして、その町で名物を食べて、地元の人…
今日は、フランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちは」(BONJOUR TRISTESSE)。 「悲しみよこんにちは」と聞いて、斉藤由貴さんの曲のメロディラインがぱっと思い浮かぶのはおそらく40overの方ではないでしょうか。 フランソワーズ・サガンが1954年に、こ…
イスラエルのテルアビブ生まれで在住のエトガル・ケレット著の「あの素晴らしき七年」。この本にたどり着いたのは、なぜだろうと思い返していたが、結局わからなかった。去年の私の手帳の読みたい本のリストにこの本の名前が書かれていた。 ケレット氏の本は…
この村上春樹さんの『遠い太鼓』は1986年からの3年間、村上春樹さん(正確にいうと村上さんご夫妻)がヨーロッパで暮らした時のことが描かれている。この期間に長編では『ノルウェイの森』『ダンス・ダンス・ダンス』と短編では『TVピープル』を書いたという…
2017年10月に単行本化された原田マハさんの小説「たゆたえども沈まず」。 揺蕩う(たゆたう)という言葉は、あまり使わないが、「物がゆらゆら動いて定まらない。ただよう。」ようすを表す言葉で、「動揺する」「ためらう」など、心の動きも表す言葉である。…
原田マハさんの「ロマンシェ」は、ラブストーリーと聞いて読み始めた気がするけれど、少しコメディタッチで奇想天外なストーリーの中に、パリのリトグラフ工房 “idem ”が出てきて、その絡め方が上手だなと思ってしまった。 主人公の美智之輔は美大を卒業して…
またまた、宮本輝さんの本です。ナポリから南下し、ティレニア海に面したソレント半島の付け根にあるポジターノが出てくる「朝の歓び」。アマルフィから夏は船、または通年バスで行くことができる。 この本、私は2005年に読んだのに、読んだことを全く忘れて…
村上春樹氏の作品は、ほぼ欠かさず読んでいるが、彼の作品自体を語ることは、私としてはおこがましくて、なかなかできない。今回も小説の内容は、ともかくとして、この小説の中に出てくる、多崎つくるが友人を訪ねたフィンランドのハメーンリンナについて書…
宮本輝氏が書いた小説「ここに地終わり海始まる」。私がこの本を読んだのは、2005年で、ポルトガルのロカ岬がヨーロッパ最西端の岬であることは知っているけれど・・・という頃だった。 この小説では、ロカ岬の石碑に書かれた「ここに地終わり海始まる」とい…
昨日と今日と日経新聞の文化面に、「チャンドラー長編7作 翻訳終えて」として、村上春樹氏によるインタビュー記事が出ていた。 2007年に、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」の翻訳をして、今回の「水底の女」をもって、長編7作を翻訳し終え…
「前世への冒険」は、著者の森下典子さんのノンフィクションのお話で、だいぶ以前に女優の杏ちゃんがこの原作の特番ドラマに出ていて、それに触発されて原作を読んだのでした。 ドラマを見た時もそうでしたが、原作を読んで、さらに引き込まれて、私も自分の…
明日はクリスマス・イブですね。今週、小学校の読み聞かせに行き、その時に読んだ本です。絵と文はジェーン・レイという人が書いている「クリスマスのおはなし」。 日本人にとってはクリスマスは、イベントというイメージが強いのではないでしょうか?バブル…
もう10年以上前に、友人がボローニャに留学していて、2週間弱遊びに行ったことがある。友人はもう間もなく帰国というところで、学校もお休みができない状況だったので、私はひとりボローニャの町と、その近隣の町へ毎日出かけた。ラヴェンナやフィレンツェ、…
ダン・ブラウン原作の「天使と悪魔」は2009年に、トム・ハンクスを主役に映画化された。2006年には、同じくダン・ブラウン原作の映画「ダ・ヴィンチ・コード」がすでに大ヒットしていた。 「天使と悪魔」は小説としては、「ダ・ヴィンチ・コード」よりも先に…
アーウィン・ショーの作品は、私の性に合っているようで、どれも好きだ。ニューヨーカー・スタイル(洗練された都会小説と言われる)を作り上げた作家の1人である。でも、日本ではあまり人気がないようで、以前、常盤新平さんが翻訳したことのある『サマード…
今年7月に出版された内田洋子さんの「十二章のイタリア」を読む。 ミラノに在住していた須賀敦子さんが亡くなられてだいぶ経つ。私はオンタイムで須賀さんを読んでいたわけではないけれど、須賀さんが書いていたイタリアの日常を映す文章は、なんとなく私の…
今年6月に、日本語訳の初版として発刊されたロマン・ガリ著「夜明けの約束」は、ロマン・ガリの自叙伝的小説であるにも拘わらず、著者の死後37年たった今年、日本で発売され話題となった。ロマン・ガリは小説家であり、映画監督、外交官でもあった。 1914年…
先日、お客様のローマの旅の手配をしていて、ボッロミーニが設計したサン・カルロ・アッレ・クアトロファンターネ教会の近くのホテルを予約した。このクワトロフォンターネという名前の通り、4つの泉が四つ角にある近辺には、バロック全盛のころ、ボッロミー…
何を隠そう私の老後の目標は、古書店の店主になること。 古書と古書店自体に関心を持ち始めたきっかけは、この本、ローレンス さんとナンシーさんの ゴールドストーンご夫妻が書いた「古書店めぐりは夫婦で」だった。この本を読んだとき、稲妻が落ちたような…
エレナ・フェッランテ著の「リラとわたし(ナポリの物語)」で描かれるナポリは、私が観光で目にしてきた、サンタルチア海岸、ヌオーヴォ城、王宮、ムニチピオ広場や、スパッカナポリとも少し違うナポリだった。 この小説は、アメリカでも人気があったそうだ…
イタリアの中部、ボローニャから列車で30分の場所にあるイーモラ。小さな町ではあるが、車好きならばイーモラサーキットを思い起こすかもしれない。 この町に関心を持ったのは、この天野 隆司訳の、サマセット・モームの「昔も今も」と遭遇して読み始めてか…
須賀敦子さんの本を読んでいるときに、読書家の須賀さんがこの本について書いていた。須賀さんは、作家というだけでなく、イタリア語の翻訳も手がけていた。勝手にむすびつけるが、村上春樹さんとの共通点でもある。 私は村上主義者でもあり、須賀主義者。笑…
みなさん、こんばんは。 先週、今週ともに、どうしても立て込んでまして、お休みとさせていただいております。来週は少し落ち着いている予定ですので、必ず書きます!お許しください。
主人公のグレゴリウスは、スイスのベルンにあるギムナジウムでヘブライ語、ギリシャ語の教師をしていた。 ある雨の日に勤務するギムナジウムへ向かう途中のキルフェンフェルト橋から飛び降りようとした女を彼は引き留め、その女に「あなたの母国語はなんです…