umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

第22号:モンテレッジョ・・・いにしえの本の行商人たち「十二章のイタリア」

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今年7月に出版された内田洋子さんの「十二章のイタリア」を読む。

 

ミラノに在住していた須賀敦子さんが亡くなられてだいぶ経つ。私はオンタイムで須賀さんを読んでいたわけではないけれど、須賀さんが書いていたイタリアの日常を映す文章は、なんとなく私の中で「イタリア通信」のような意味合いを持っていた。須賀さんの目を通したイタリアの情景は、いつも興味深く、次々と読みたくなった。

 

いま、実際に読むことができて、昔と今のイタリアとの比較を交え、今のイタリアを伝えてくれる私の中の「イタリア通信」を書いてくれているのは、須賀さん亡きあと、内田さんだと思う。そして、内田さんの「イタリア通信」も次々と読みたくなってしまう。

 

タイトル通り、12章からなるこの本の最終章に「本から本へ」という文章がある。それは、ベネチアに住んでいた内田さんが通った古書店のエピソードから始まっている。店主と四方山話をするために訪れるように見える客たち、内田さんが粗選びした本を「~これは持っておいた方がいい」「この本は、そのうち廉価版も入荷するな」「重さがあり過ぎるから~」(一部引用)と教えてくれて、家に持って帰りゆっくり決めていいと本を持たせてくれて、お代を受け取ろうとしない店主がでてくる。素敵なエピソードはさらに続き、その三代目の古書店主の故郷はトスカーナ州の、住人は30人いるかどうかの小さな町だと聞く。

 

その町の名は、モンテレッジョ。トスカーナの大理石で有名なカラーラの海とリグ―リア州のラスペッツァの軍港が眼下に控える場所にあるという。いまでも、本の祭りが開かれるそうだ。

 

内田さんは、ベネチア古書店主に紹介されて、常駐はしていないという村の理事の人とその山間のモンテレッジョに出かけていき案内してもらう・・・詳しくは、本でお読みくださいね。

 

どうも、古書店、本というキーワードが出てくると私は気になって仕方ない。そして、モンテレッジョという町が気になってしょうがない。発音から想像するに、Montereggioかなと検索してみると、それらしい町がヒットした。

「Montereggio paese dei librai」というタイトル。本の国モンテレッジョという感じだろうか。

http://www.montereggio.it/

ウェブサイトには、中世の装束を着て本を片手に持つ行商らしい男性の絵と、すでに終わった今年8月19-27日の本の祭りの告知等が出ている。

::.www.montereggio.it.::

町の画像が上記のリンクには出ているがなんともひなびた感じの山間の町である。ここから、時には命がけで本を背負って運んだのかと想像すると感慨深いものがある。どんな道を歩いて運んだのだろう。行ってみたい、モンテレッジョ。

十二章のイタリア

十二章のイタリア / 内田 洋子著

東京 : 東京創元社 , 2017

237p ; 20㎝