umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

第76号:気になる書店・・・「場所はいつも旅先だった」

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松浦弥太郎さんといえば、『暮らしの手帖』の現在の編集長から2つ前の編集長です。文筆家であり、書籍商となっていますが、ご本人はカテゴライズされるのはお好きでないようで、そういうところに私も共感しています。

 

さて、『場所はいつも旅先だった』は2009年に出版されました。旅に関わるエッセイのようなショートストーリーが収録されています。

 

私がこの本を購入したときは、装幀がカバーにシールが貼ったもので、なんだか味がある手作り感のある中の髪質といい、ペーパーバック風だったのですが、その後集英社で文庫本が発売されたようです。ちなみ私が購入したそのペーパーバック風のものはブルース・インターアクションズという会社が発行元となっています。

 

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場所はいつも旅先だった

 

松浦さんが20代に過ごしたサンフランシスコ近郊のカルフォルニアバークレーが出てくるストーリーが多いのですが、ほかにもマルセイユやパリ、ロスなどの旅の話がでてきます。

 

その中でも印象に残ったのは、古書店の話でした。この本の中には何軒か古書店がでてきますが、その中でも特に印象に残ったのは、バークレーの「セレンディピティ・ブックス」とニューヨークきっての古書店「ストランド書店」。

この2つのお店のことは、『ご機嫌な習慣』という本の第5章「大好きなモノ語り」の最後の2編にも書かれています。

 

どちらも店主が個性的。

セレンディピティ・ブックス」の店主ピーターさんからは、ブローティガン著『アメリカの鱒釣り』の初版本を購入。サンフランシスコ中の書店を探して見つからなかったのに、この店には初版本がずらりと並んでおり、ピーターさんは日本から松浦さんに鉛筆で700ドルに線を引いて60ドルにして譲ってくれたそうです。酒の樽の看板に店名が書かれており、壁一面をアイビーの蔦に覆われ平屋の建物で古びた木でできたドアをカランコロンという音とも開けると中はだだっぴろい古書店だったそうです。その店の様子を想像しただけでも風情が感じられますね。

 

「ストランド書店」の店主フレッドさんには、1950年発行のグラフィックマガジンの『PORTFOLIO』全3号を別の古書店で難ありを掴まされたトラブルを救ってもらい、素晴らしいコンディションの『PORTFOLIO』を譲ってもらうというエピソードが書かれています。

 

久しぶりに私の中の眠っていた古書への思いが動き出す気がしました。そうそう私の将来の夢は未だに古書店を開くことだから。

 

以前このブログに書きましたが、古書の魅力に飲み込まれていくアメリカ人のローレンスとナンシーのゴールドストーン夫妻(「古書店めぐりは夫婦で」と「旅に出ても古書店めぐり」の著者)を思い出しました。彼らも稀覯本を探して、いろいろな古書店を巡り、これまた個性的な店主に出会っていきます。

 

すっかり古書店の話になってしまいましたが、本と旅って、やっぱりいいなあって思います。いまのこの状況だといずれも平和産業だと実感してしまいます。

 

ニューヨークの「ストランド書店」はやっぱり絶対行きたいなあと思ってしまいました。この本の出版当時、ストランド書店地下1階から4階までが売り場となっており、その蔵書を並べると18マイルというコピーに変わったところだったそう。大都会のニューヨーカーに愛される本屋の魅力をこの目で是非見てみたいです。

 

雑貨やオリジナルトートバッグも種類が豊富という話は聞いていて、稀覯本のコーナーもあるといいます。ああー、いますぐにでも行きたい「ストランド書店」。

でもいまは「ストランド書店」も臨時休業中。

 

頑張れ!「ストランド書店」!

 

Strand Bookstore

https://www.strandbooks.com/

 

場所はいつも旅先だった (集英社文庫)

場所はいつも旅先だった / 松浦 弥太郎著

東京 : 集英社 , 2011

256p ; 16㎝

 

ご機嫌な習慣 (単行本)

 ご機嫌な習慣 / 松浦 弥太郎著

東京 : 中央公論新社 ,  2018

196p ; 20cm