第52号:I LOVE 神保町・・・「珈琲が呼ぶ」

片岡義男さんの「珈琲が呼ぶ」で、私にとっては、懐かしの神保町の「ミロンガ」と「ラドリオ」が出てきました。

 

大変勝手ながら私と神保町について。

神保町という町について、初めて他人から熱く語られたのは、埼玉の県立高校に通っていた高校生の時。その当時付き合っていた年上の彼氏が神保町が大好きだということで、その魅力を語られたのことが記憶に残っている。彼の大学が神保町からほど近いところにあり、文学青年であった彼は学生時代に足繁く神保町へ通っていて、その当時も時間があれば、神保町に行くという話だった。

 

でも、その当時の私は、今ほど本も読まなかったし、神保町にデートに連れていかれたこともない。私はたぶんそういう点では彼にとって不適格者だったのだと思う。

 

その後、何年かして、その彼とはすっかり別れたころに、私は3,4年になり、校舎が変わり、その彼が通っていた大学と目と鼻の先にある女子大へ通う。もちろん神保町にもほど近かった訳だけど、特に神保町へ行くこともなく大学時代を終えた。と書きながら、いやいや、大学時代のあらたな彼氏は、神保町駅を使って大学に通っていたので、神保町はよく通過していたが、水道橋側だったので、スズラン通り側に行くことはほとんどなかったと記憶している。

 

大学を卒業して、初めて就職した会社が神保町にあり、それから異動になるまでの2年間を神保町で自分的には濃密な時間を過ごしたと思う。

 

平日は毎日、朝9時半から23時近くまで猛烈に神保町で働いた。ランチはスズラン通り周辺にいそいそと出かけ、どうせ残業だからという感じで、営業に出るついでにゆっくりランチをしていた記憶があり、そんな昭和な働き方の時代だった。

 

懇意にしている先輩や同僚と、他の誰にも会わずに、安心して密談をするときに、よく「ミロンガ」が使われた。私の会社のあった一ツ橋方面から行くと路地の右手が「ミロンガ」で、左手が「ラドリオ」だった。両方の店は、はす向かいになっていて、数十歩程度の距離にある。

 

会社の人が「さぼうる」あたりにはいることが多いので、秘密の話は「ミロンガ」で、となるわけだ。若くて、モウレツ社員で、なにか熱かった20代の頃の話。

 

今回、この本の中の写真を見て、なんとも懐かしい神保町への気持ちが蘇ってしまった。この本の中には、(神保町ではないけれど)DISK UNIONの話も出てきて、神保町のDISK UNIONも当時ジャズ・ボサノバの品ぞろえよく、よく出かけたなあと懐かしく思う。

 

11月の文化の日の前後は、毎年「かんだ古本まつり」が行われる。この古本まつりは本だけでなく、食べ物の出店も出て面白い。思いがけない本に出会えて、出版社も周辺にあることもあって、新刊やガイドブックなども安く出ていることもある。

 

私も神保町の話を他人事として聞いていたころはなんとなく、古書店の足を踏み入れがたい雰囲気と相まって、自分から神保町へ足を踏み入れる気がしなかった。

 

期せずして勤務することになり、通ってみると、奥が深い。チェーン系列でないオリジナルな魅力的な店が多い。元は中華街だったこともあり、美味しい中華の店が多いのもいいし、本の町らしく、本を読むために立ち寄りたい喫茶店がもともと多い。

 

私の青春も詰まっていて、大好きです神保町。

 

珈琲が呼ぶ

珈琲が呼ぶ / 片岡 義男著

東京 : 光文社 , 2018

p347 ; 19㎝