著者の井上章一さんが、以前BSの「久米書店」という番組に出ていました。「久米書店」自体が終わってしまったので、私としては寂しい限りなんですが、そこで著者自らこの本を紹介されていました。
生粋の京都人が言う、本当の「京都」という範囲は本当に狭いものだということが、この本にも書かれています。
関東人の私から見れば、京都市内は「京都」でしょ?という感じでいましたが、京都市内と言っても実際には広く、嵐山嵯峨野のほうもあれば、宇治寄りのエリアも長岡京市寄りのエリアも含まれており、そういう生粋の京都人の気持ちもわからなくもありません。またそこには、生粋の京都人ならではの、よそ者へのアイロニーも感じます。
そこらへんは、これまた大好きな番組(なのに、先日完結した様子・・・)、BSプレミアで不定期に放送されていた「京都人の密かな愉しみ」という番組にも嫌というほど、描かれていますね。
昨年の8月お盆の送り火のすぐ後に、私は京都に遊びに行きましたが、この本を読む前だったので、もっと早く読めでおけばよかったと後悔しきり・・・。
夜、嵐山の鵜飼いを見に行ったんですが、嵐山・嵯峨野近辺には、南北朝時代の天皇と関連する地名が見られます。南北朝のきっかけとなったのは後嵯峨天皇ですし、その近くには南朝派の亀山天皇と同じ亀山という地名があったりという感じです。
南朝派(大覚寺統)が帰依した大覚寺があったり、北朝派(持明院統)側に付いて、その後室町幕府を開いた足利尊氏が、夢窓疎石によって作らせた天龍寺があり、天龍寺は南朝派の鎮魂の寺という意味もあるそうです。
教科書で見ていた歴史が、現在と繋がってゆくような感じがして、歴史の奥深さを感じるのでした。
次行くときには、もう一度読んでから出かけてみよう!
<お知らせ>
来週からサマーバケーション(聞こえはいいのですが・・・)の為、
このブログはお休みさせていただきます。
京都ぎらい / 井上 章一著
東京 : 朝日新書 , 2015
224p ; 18㎝
<これまた私にとっての京都ブームの火付け役>
鴨川食堂 / 柏井 壽著
東京 : 小学館文庫 , 2015
253p ; 15㎝