猛暑の夏で、もう秋はこないんじゃないかと思っていた日もありましたが、一足飛びに秋になってしまいました。急に肌寒くなりましたね。
2020年6月に発行された「村上T」を読みました。ただのTシャツ本とあなどるなかれ。
さすが村上さんならではのTシャツとエピソードが書かれています。
ここに出ているTシャツは、高級なものでなく、1ドルで買えるものやそのノベルティーTシャツって、どこで貰ったのかしら?というものがたくさん出てきます。
Tシャツの画像はさる事ながら、面白いエピソードも多くて、それぞれ読んでいただいたほうがいいのですが、私は「ウィスキー」という章が印象に残りました。
村上さんがスコットランドのアイラ島に行ったときに、地元の人に教えてもらったという「トゥワイス・アップ」という(水割り的な)飲み方を紹介しています。
そして、村上さんはこのように書いています。
とくにアイラ島現地の水には独特の香ばしさがあって、それがアイラのシングル・モルトにうまくマッチしている。
(本書「村上T」から引用)
また、アイラ島の隣にあるジュラ島には、有名な蒸留所があって(ジュラ蒸留所かと思うのですが)、そこで飲む水もおいしく、その水で割ったジュラのウィスキーも独特の味わいだったそうです。
蒸留所の ロッジに泊めてもらい、毎日好きなだけウィスキーを飲んで、土地の料理を食べて・・・そういう数日を送れただけでも、こうして今まで生きてきた甲斐があったかもなと思う。
(本書「村上T」から引用)
こんな 言葉を読んでしまうと、ジュラ島への旅心を誘われてしまいます。
ちなみにジュラ島は「鹿の島」という意味だそうです。これまた想像が膨らみます・・
Tシャツの話から、こんな風に旅心までも誘ってしまう村上さん。最近はTOKYO FM
の「村上RADIO」で、しばしばその渋くて素敵なお声を聞くことができるので、本を読んでいると村上さんの声で語りかけてくれているような錯覚にさえ陥ります。
いまは海外へ旅行にも行けない日々が続いていますが、アイラ島でシングル・モルトをまずは楽しんで、船でジュラ島へ渡って、泊まって、ここでもシングル・モルトと地元の料理に舌鼓・・・、あー、なんていいんだろうと思います。まずは、私も一生懸命、日々生きますと村上さんにお返事したくなりました。
村上T : 僕の愛したTシャツたち / 村上 春樹著
東京 : マガジンハウス , 2020
189p ; 18cm