第70号:かごの中の本・・・「もうひとつのモンテレッジョの物語」

以前も、内田洋子さんが執筆されたイタリアの小さなモンテレッジョという本の行商の村について、このブログを書いていますが、今回「もうひとつのモンテレッジョの物語」が昨年のクリスマスに発刊されました。

 

本の装丁がとても素敵です。帯の写真と本表紙の子ども達の絵。

さらに縦書きでは内田洋子さんの「もうひとつのモンテレッジョの物語」が本の半分を、そして横書きでモンテレッジョの子供達の「かごの中の本 モンテレッジョ 本屋の村の物語」がもう半分となっており、両側から楽しめる仕組みです。

 

通常、図書館で借りる形で本を読むことが多い私もこれはやはり買っておかなくては、という気持ちになった1冊です。

 

先日、J-WAVEクリス智子さんの「GOOD NEIGHBORS」にも出演されており、本で書かれていた内容が一層リアルに伝わってきました。

 

内田洋子さんがモンテレッジョを調べていく中で子供達にもこの歴史ある村に住んでいることに誇りを持ってもらいたいと、小学校に持ち掛けます。といってもモンテレッジョには小学校はないので、モンテレッジョを含む広域の10を超えるの山村から通学してくる<リヴィオ・ガランティ>小学校のリッチ校長先生に持ち掛けます。そこでそのリッチ校長先生と内田さんが話す中で、その子供たちの調べたことを「本にしましょう」ということになります。

 

村に産業らしい産業がなく、商店も銀行の無い寒村で子供たちに、

「大きくなったら何になりたいですか?」

「・・・・・・」 

と内田さんが聞いても、なかなか答えが返ってこない状況です。 

この調べ物を行うのは、2-4年生の混合クラスの計23名。土曜日は本来は学校がお休みのところ、土曜日を使って、課外授業を含め、調べもの&本の製作に20回をあてました。子供たちはだれも休むことなく取り組みました。

最初は文章を書くこともままならなかった子供たちの語彙も広がってきます。

そして、子ども達の書いたこの本は、国際的なコンクールで賞をもらったり、イタリアの海の町から招待されたり、とても評価をうけました。

 

この子ども達の書いた本の前書きで、リッチ校長先生は下記のように書いています。

この経験のおかげで、子ども達は歴史の勉強を通じて自分たちの住む土地を好きになり、自分たちも郷土の歴史をかたどる一人であることを自覚し、それを誇りに思うだろう。もしもそのように子供たちを導くことができたなら、学校としての任務を果たせたことになる。なぜなら、子供たちは学んだ内容をただ繰り返して言うだけではなく、自分への揺るぎない自己への自信を得て実際に世界へ旅に出て、自由で斬新な視点と発想で、世の中をより楽しく変えていくことにつながるだろう。

 このモンテレッジョの物語は、私自身も内田さんの本を通じて経過に興味を持ってきましたが、この子ども達の本はとても素晴らしく、とてものびやかです。

この内田さんの持ち掛けた話に即答して本にしましょうと言ったリッチ校長先生、そしてこの教務担当をされたフランチェスカ先生はとても素晴らしいです。

 

とくにフランチェスカ先生の進め方や「何より優しいのに厳しい。正しく真面目で笑い上戸で、感激屋」と内田さんがフランチェスカ先生を評すように、心が通う指導をされたことがこの本を読むことで感じられます。

 

こんな先生に出会えて、こんな風に学ぶことができたら、その子どもの世界は大きく広がるのではないかと思いました。

 

2017年現在で村の人口は32人で限界集落であるのに周囲の建物は手入れされているというモンテレッジョ。周囲は栗の木ばかりの他の農作物がほとんど出来ないという土地柄のため、日常的に栗を粉末にして食してきました。栗の粉で作ったニョッキの味は滋味深いと書かれています。

 

あー、どんな町なんだろう。そして、栗の粉から作るニョッキの味は・・・とても気になってしまいます。

 

 第49号:本の行商人たちに捧ぐ・・・「モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語」 - umemedaka-style’s diary

 

第22号:モンテレッジョ・・・いにしえの本の行商人たち「十二章のイタリア」 - umemedaka-style’s diary

 

もうひとつのモンテレッジォの物語

 もうひとつのモンテレッジョの物語 / 内田 洋子著

東京 : 方丈社 , 2019

224p ; 19㎝

*『かごの中の本』の全訳をカップリングした1冊