2015年に芥川賞を又吉さんが受賞した時に、直木賞を受賞した東山彰良さん。
彼のルーツである台湾を舞台にした「流」。
その頃、お気に入りだったBS日テレの「久米書店」に東山さんが登場されていたので、この本を読んだのでした。
長期にわたり戒厳令が続く1975年の台北でかつて国共内戦で戦った主人公秋生(チョウシェン)の祖父が殺害される。
「高校生だった秋生の人生は大きく揺れ動き、秋生は日本、そして家族のルーツの中国へ流れていく。」
2015年5月17日掲載 読売新聞よみうり堂から引用
この本を読んで、一般的な日本人が思い描く、今の台湾に見る親日的で、かつては国民党の蒋介石が率いて中国大陸とは一線を画する民主的な国家を作ったと言う印象と、うーむ、それだけの印象とは、ちょっと違うのかもと思いはじめる。
この本の中では、戦争において、下々のものは、主義、主張、思想や哲学などなく、場当たりでどちらにつくか決めるものであったという。
そして、殺害された秋生の祖父も、国民党、共産党との戦いで、たまたま国民党についた。そして、ある村の人々を惨殺した首謀者だった。そして、台湾にわたり、平穏に生活していた、ある日突然殺害された。
殺害したのは、祖父が殺害した王一家の息子であり、祖父が家族にも事情は内密にし、育てた男だった。祖父はわかっていて、可愛がり、生きながらに罪を背負っていたという。
戦前、台湾が日本であったことも事実。沖縄についても、台湾についての歴史もちっとも知らない自分がいる。
流 / 東山 彰良 著
東京 : 講談社(文庫) , 2017
512p , 15cm