umemedaka-style’s diary

本と旅をつなぐブログ

第66号:「マチネの終わりに」の洋子の住んでいたパリ

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先日新聞にシャンゼリゼ通りのライトアップが始まったとありましたが、気が付けば、もうアドベントシーズンに入っていますね。

 

11月1日から公開した映画「マチネの終わりに」を早々に見に行っていたのに、書くのがだいぶ遅くなってしまいました。

 

単行本で平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」を読んだのは、私の場合は2018年1月でしたので、だいぶ内容も忘れかけたころに、この映画を見たので、原作と厳密に比較するという感じでなく、原作とは別物として見た感じでした。

 

ご存じだとは思いますが、主人公のギタリスト蒔野を演じたのは福山雅治さんで、小峰洋子を演じたのは石田ゆり子さんでした。

 

正直なところ、原作を読んで私が勝手にイメージしていたのとは全く違ったのですが、これはこれでよかったと思います。映画館まで見に行くと、まるで福山ファンと思われるのかなというのが少し危惧されましたが、それでも1月から公開の「ラストレター」も見に行きそうだし、もう私はれっきとした福山ファンかもしれません。

 

私の中では、主人公の蒔野はもっと神経質で繊細そうなイメージでとらえていましたが、福山さんの実直というか直球みたいな感じの蒔野もよかったのではないでしょうか。

 

本で読んだ時も、映画を見た後も、思わず「三谷―っ!!」と叫びたくなる感じは、全く同じでした。三谷を演じた桜井ユキさんが今回とてもよかったです。

 

話は戻りますが、パリで洋子は通信社の記者として働いています。結婚してニューヨークに住んでいたり、原作では独身時代にイラクに赴任もしています。映画ではイラクではなく、パリでのテロ事件を取材する洋子が記者として働く世界は危険が身近にあることが描かれています。

 

洋子の父でクロアチア人の映画監督のソリッチの映画『幸福の硬貨』のテーマ曲は、蒔野が天才少年ギタリストとして華々しくデビューした頃に弾いた曲で、洋子とつながるモチーフとしてこの映画の伏線となっています。

 

原作では、天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)という年齢設定で、蒔野は音楽家として仕事の上ではスランプに陥りつつあり、洋子は付き合ってきた恋人と結婚を考えていた時期で、お互いに遠慮のあった二人がパリではとても近くなったところなのに、また運命のめぐり合わせで離れてします。そんなターニングポイントになる地でもあります。

 

ともあれ、ラブストーリーにパリが入ってくるとまたさらにロマンティックさが加わるのは私だけでしょうか。

 

マチネの終わりに (文春文庫)

マチネの終わりに / 平野 啓一郎著

東京:文藝春秋 , 2016

20㎝;416p