先週の米原万里さんが子供時代に住んでいたプラハについて書きましたが、以前夢中になって読んだ春江一也さんの本を思い出しました。
三部作で、『プラハの春』『ベルリンの秋』『ウィーンの冬』。
最初の2作は、立て続けに夢中で読んで、3作目は発売になるのが楽しみで待っていた記憶があります。
外交官で作家だった著者らしく、主人公も外交官で、とてもリアルに描かれていて引き込まれていきました。東西に分かれていたドイツやソ連の政治的なことや、恋愛もストーリーの重要な要素となっていて、どんどん引き込まれます。
小説を読むうちに、1968年におこった革命「プラハの春」について、どういうものだったかということがわかります。結果で見ると、革命は失敗だったと片づけられるのかもしれませんが、この「プラハの春」の革命によって、人民による力で、その時の大統領は失脚させられ、”人間の顔をした社会主義”というスローガンのもとに、言論の自由、集会の自由を認めた”行動要綱”というものが作られました。人々は自由を勝ち取った喜びに満ち溢れた時に、ソ連は軍事介入を持って阻止しました。ヴァ―ツラフ広場の戦車が乗り込んできたそうです。
それに抗議したカレル大学の学生であったヤン・パラフとヤン・ザイーツがヴァ―ツラフ広場の聖ヴァーツラフ像の前で焼身自殺をしたことはよく知られています。
プラハには旧市街広場とそこから少し行ったところに、言われなければ大通りと思ってしまうような長方形のヴァ―ツラフ広場があります。
そこを通るたびに、この小説の中でのプラハの春と重ね合わせている私がいました。
子供の頃、今のようにロシアとは呼ばず、ソ連と呼んでいて、バレーボール選手がCCCPというロゴのユニフォームを着ていたことを思い出して、すごく昔の話でないんだと思った記憶があります。
プラハに行く前に、一度読んでみてもいいと思います。
プラハの春 / 春江一也著
東京: 集英社 , 初版 1997
ベルリンの秋 / 春江一也著
東京: 集英社 , 1999
ウィーンの冬 / 春江一也著
東京: 集英社 , 2005