「前世への冒険」は、著者の森下典子さんのノンフィクションのお話で、だいぶ以前に女優の杏ちゃんがこの原作の特番ドラマに出ていて、それに触発されて原作を読んだのでした。
ドラマを見た時もそうでしたが、原作を読んで、さらに引き込まれて、私も自分の前世をたどる旅をしたいと思ったのでした。できれば、私も前世はイタリア人、せめてヨーロッパ人がいいなと思い、最近では私も絶対前世はイタリア人だったと信じて疑わないようになってます。(笑)
森下さんは、前世を診ることのできる女性のもとに行き、その女性が言うことには、1人目は有名な僧侶の弟子である人物、2人目はこのルネサンス期にフィレンツェで活躍した彫刻家で、デジデリオという人物だと知るのでした。
森下さんは、彼の足跡をたどるべくフィレンツェへ出かけていきます。サンタマリアノヴェッラ駅から町の中心へ向かう途中のサンタマリアノヴッラ教会の説教壇、サンタ・クローチェ教会の『カルロ・マルズッピーニの墓碑』は、デジデリオが一人前の彫刻家として最初に仕事したものだそうです。
ノヴェッラ駅から徒歩三分ほどの二ツ星のペンショーネのARBERGO DESIREE(デジレ荘)のデジレはフランス語で、デジデリオという意味の名のペンショーネがあったりします。
彼は、ポルトガルのポルトの出身で、ポルトガル枢機卿と異母兄弟だったそうで、森下さんはポルトにも出かけていきます。
フィレンツェで、たくさんのデジデリオと関係のある場所を訪ねます。モンテ・アレ・クローチェにあるサン・ミニアート・アル・モンテ聖堂には、デジデリオと従兄弟のように親しかったというアントニオ・ロッセリーノ作『ポルトガル枢機卿の墓碑』があります。デジデリオの住んでいた家やアトリエ、彼の墓などにも出かけていきました。
細い糸が絡まるようにつながっていて、それを1本1本たどっていくような旅で、なんとも自分の前世のように気になって仕方がないのです。
来年2018年に、森下典子さんの『日日是好日(にちにちこれこうじつ)』が映画化されるようです。それを聞いて、久々にこの本を思い出しました。
そして、初めて読んだときのように、フィレンツェを歩きたい気持ちになりました。
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今年の4月から、このブログを書き始めましたが、2017年も年末になってしまいました。読んでいただき、ありがとうございます。また、来年も宜しくお願いします。
前世への冒険ールネサンスの天才彫刻家を追って / 森下 典子著
東京 : 光文社 , 2006
303p ; 16㎝